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 エコクッキングでガス代が激減
      =省エネは家庭から始めよう=


 地球温暖化の原因になっている二酸化炭素(CO2)は、産業界の生産活動からだけでなく、家庭生活からも排出される。横浜市の主婦、西岡政子さんは「家庭でのエネルギーの無駄使いが、温暖化につながることを理解し、省エネ意識を高める必要がある」として、「保温調理法」を実践している。
▽土鍋、新聞紙、バスタオル、鍋敷きがあればいい
 「この瞬間、いつもどきどきします」。土鍋の蓋を開けようとする西岡さんの声が、やや緊張する。蓋を明けるとこんがりと焦げ目の入ったハンバーグが姿を現し、香ばしい匂いを内包させた白い湯気が、ホワーと沸き立った。土鍋に入れる前は、焦げ目はあったものの、生焼き状態だったハンバーグが、最後まで、ガス火を使って鍋で調理したのと同じように、滲み出た肉汁の中に、ふっくらと出来上がっていた。
 特別な調理器具は必要ない。土鍋、新聞紙3枚、バスタオル2枚、鍋敷きがあればいい。土鍋がなければ、家庭にある普通の鍋でも構わない。ハンバーグの作り方を再現する。フライパンでハンバーグに焦げ目を作る。土鍋に水をいれる。どんぶりのようなものにハンバーグを移し、土鍋に入れる。土鍋の蓋をしてガス火で、水を沸騰させる。水が沸騰したら鍋を新聞紙とバスタオルで包み込み、40分間そのままにしておく。実際にこのハンバーグをごちそうになったが、フライパンで、最後まで調理したのにまったく遜色がなかった。このやり方で作った茶わん蒸しもごちそうになった。ハンバーグ同様、とても美味しくできていた。
 この調理法の原理は、早稲田大学工学部の小林寛教授(応用物理学)が発見した。火を使う時間を短縮することで、ガス代が節約できる。2世帯住宅に住む西岡さんのお宅の場合は、3年前に「保温調理法」で料理を始めたが、「毎月のガス代は3分の1以下の5000円未満に激減した。太陽温水器を取り付けた効果もあるが、保温調理法が省エネに貢献しているのは間違いない。短時間で作るてんぷらや焼き物、いためものは無理だが、いろんな料理に使える。しかもきれいにおいしくできる」
▽ベースに日本の知恵 
このほか、西岡さんはや雨水の利用も実践し、家庭での省エネにつとめている。さらに地元のゴミ問題で市民グループの代表もしている。「省エネはまず、家庭の中から始める必要がある。日本中に普及させたい」と考える西岡さんはレシピ集を作成し、出張講習会を開いている。レシピ集は希望すれば500円(送料別、郵便番号247-0031 横浜市栄区桂台北8-4の西岡さんへ葉書で申し込む)で手に入る。
 西岡さんから、レシピ集をいただいたので、さっそく自宅で妻にこの方法で、調理してもらった。妻はハンバーグ、おでん、茶わん蒸しに挑戦した。「ちょっと面倒臭いけど、確かにガス代の節約にはなる。それに、家族が仕事の関係で一緒に食事ができない時は、料理がずっと保温状態になって入るので、火を通したり、電子レンジで『チン』をしなくても済むから便利。湯たんぽと同じように日本の知恵を生かしている」というのが妻の感想だ。一度試す価値があるように思う。
●写真は、保温調理法でハンバーグを作る西岡さん

 

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