マイ・ショップ

 ◇ネスト―コンセプトは北鎌倉の光、風、借景(ギャラリー&レストラン)◇

 北鎌倉には北鎌倉の光と風がある。景色と同じように光と風は、それぞれの地域によって違う。しかも季節や時のうつろいとともに色彩、硬軟、匂いなどが微妙に変化していく。ネストは北鎌倉のその瞬間の光と風を、体と心で感じることのできる希有なスポットだ。オーナーは柳田八重子さん。場所は湿地をベースにした貴重な生態系を持った台峯緑地の麓。JR北鎌倉駅を降りて、鎌倉街道を大船方面に向かって徒歩約10分。浄土宗の一派である時宗(じしゅう)の光照寺のすぐ上にある。

□住  所 〒247-0061 神奈川県鎌倉市台1399-1
□TEL&FAX 0467-47-9540
□営業時間 11:00〜18:00
□休 館 日 火曜日   
http://www3.tky.3web.ne.jp/~nest/

▽窓から北鎌倉の風景を一望
北鎌倉から鎌倉へ向かう観光客の「定番」の流れとは逆になる。場所的に便利とも言えないし、駐車場もない。しかし、「光、風、北鎌倉の借景をコンセプトに建築された」というネストの建物に入った瞬間、こうしたハンディを補ってあまりあることに気付く。

 お店の大きな窓から外を眺めると北鎌倉らしい風景がパノラマ的に広がっている。
緑と融合した円覚寺、旧小泉邸の洋館と白モクレンや金色に色づいたイチョウなど、ここでしか見ることができない北鎌倉ならではの風景が一望できるのだ。

▽季節限定ランチ、デザートも楽しい
 店内にはさまざまな分野のクリエーターの作品が展示されている。オシャレで値段も手ごろだ。お土産にもなる。旬の食材を使った季節限定のランチ(1500円)、デザート(500円)も楽しい。「食」と「器」と「季節」、それに「借景」とが、無理なく調和している。オーナーの心遣いというか、ポリシーを感じる。

 春から秋にかけて、テラスで食事がいただけるようになる。萌えるような新緑の時期、テラスでビールグラスを片手に、時の経過を忘れて、緑風に当たっていたことがある。自然に肩の力が抜けて、とても穏やかな気持ちになった。時折、野鳥も顔を覗かせ、手すりで羽を休めていた。

▽ポリシーを持った(?)「チャオ」
 柳田さんは、私が第2の故郷だと思っている九州の出身である。「北鎌倉の風景は、田舎の風景に似ていて懐かしい」。これが、北鎌倉の地にお店を構えるようになった最大の理由だという。きっと、故郷の街も北鎌倉と同じように古い歴史があって、海に近く、緑が豊かなのだろう。そういうふうに想像した。

 「チャオ」という名前の猫が時折、顔を出す。体の模様が、魚のサバに似ているので、私は勝手に「サバ猫ちゃん」と呼ん出いる。店主同様にポリシーを持っている(?)せいなのか、そのへんはよく分からないけれども、じっくり観察するとかなり「おれ流」を貫いている。「チャオ」はペットとしての「犬」と「猫」の違いを改めて意識させてくれる。気になる存在である。(了

光、風、北鎌倉の借景を
コンセプトに建築されたネス
テラスで体感する北鎌倉の春
(光照寺付近)
テラス体感する北鎌倉の秋
(旧小泉邸の洋館とイチョウ)
 


もどる