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 ◇尾島肉店―店頭の豚肉は地元湘南特産の「やまゆりポーク」(高級食肉専門店)

 牛海綿状脳症(BSE)やアジアで猛威をふるう高病原性鳥インフルエンザ問題など、今や、食を取り巻く環境は不安が一杯だ。
しかし、この店の商品は、安心して買うことができる。理由は主力商品の豚肉が、地元の湘南の農家から仕入れた「やまゆりポーク」だからだ。「やまゆりポーク」は、農家と農協・JA全農神奈川が連携し、計画生産している。厳選した種豚から生まれた小豚を恵まれた湘南の自然環境の中で、安全面にも配慮、極力、飼料に抗生物質などを入れるのは、避けて飼育している。
 きめ細かな肉質で、見た目にもきれいで味はジューシーだ。「やまゆりポーク」のブランド名は、神奈川県の花である「やまゆり」に由来する。尾島肉店のショーケースには「やまゆりポーク」を中心とした約40種類の生肉と一緒にハム、ソーセージ、チャーシューなど28種類の加工品が並ぶ。商品の質と値段のバランスがとてもいい。ハムやソーセージの詰め合わせが、電話とFAXで注文可能だ。 場所は片瀬山の入り口にある。

▽住所 郵便番号251-0032 藤沢市片瀬1-6-23 
 TEL 0466-26-2986
 FAX 0466-22-4967

▽1頭丸ごと無駄なく利用する
 店主は尾島秀樹さん。2代目だ。15年前、藤沢市の中心部から鎌倉市との境界線となっている、この場所に引っ越してきた。ハムやソーセージは、ドイツで修行を積んだ後、この店で作りはじめた。私のお気に入りは「ビアブレスト」と「レバーケーゼ」。ソフトサラミの「ビアブレスト」はスパイスが効いていて、まさにビールの友。
「レバーケーゼ」は少し厚めに切ってもらう。ホウレンソウのソテーを添え、半熟卵の黄味を付けて食べる。
 日曜百姓やテニス、裏山の六国見山へ登って、汗をかいた後、ビールグラスを傾けながら食べると、ことのほか美味しい。良質で手ごろな価格のハムやソーセージを作るにはいくつか秘けつがある。「所詮、装置産業」と謙遜するが、最も大事なのが、肉を見る目と1頭丸ごと無駄なく利用することだという。ドイツを中心とした海外の品評会で、輝かしい成績を残している。「日本人は御墨付きがないと信用してもらえない」。

▽このままでは食の伝統がなくなる!
 「職人魂」を感じさせる人だ。「食は文化」であることがよく分かっている。だからこそ心配がある。「大型店の出現で、良質の商品を提供していた専門店がどんどん廃業に追い込まれている。いいものを提供しようとすると商売にならない時代になってしまった。このままでは食の伝統がなくなってしまう」。
 「山ゆりポーク」の将来にも不安がつきまとう。「養豚農家はそこその年収は確保できている。でもね、休日が取れないから、後継者がいない」。後継者難という日本の農業が抱えている最大の問題がここでも陰を落としている。「この店もあと5年か10年しか続かないかも。だって、食肉店を取り巻く状況を考えたら、自分の子どもに後を継いでくれっていえないもの」。尾島さんの表情が曇る。

▽共通項は「店主はいまどき貴重な職人気質」
 ともあれ、「魚梅」(http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/shop/sengyo.html)の店頭で魚を見るのも楽しいが、「尾島肉店」のショーウインドウでこうした商品を見るのも楽しい。扱っている商品は違うけれども、「尾島肉店」と「魚梅」の店主には、共通項がある。それは「店主はいまどき貴重な職人気質」。「魚梅」で魚を買い、国道134号に出て、海岸沿いに車を江ノ島方面に向かって走らせる。
 途中、稲村ガ崎に差し掛かると左前方に海に浮かぶ江ノ島、正面には富士山が見えてくる。夕陽の沈む瞬間とぶつかると最高だ。夕陽が江ノ島の真上に落ちていくのを見たことがある。だれかさんの台詞ではないが「感激した」。ほどなく「TARO'S」(http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/shop/taros.html)の看板が目に入ってくる。お客さんが入っているのを確認すると、なぜか嬉しい。そして、尾島肉店で肉を買って自宅に帰る。この「買い出しツアー」、実は私の密かな週末の楽しみでもある。(了)

 
店主の尾島秀樹さん
国際大会でいただいた沢山の賞状

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