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鎌倉市、台峯緑地の約25億円相当部分を正式に先行取得
     ―トラスト資金の受け入れ態勢整う―

去る10月26日、鎌倉市土地開発公社は台峯緑地に宅地開発を計画していた地権者から鎌倉中央公園に隣接した部分を中心とした約11万平方メートルの土地を約24億7700万円で正式に先行取得した。
 これは昨年12月16日の鎌倉市と地権者の間で、まとまった緑地保全に関する基本的合意を受けたもの。正式取得に先立ち、鎌倉市は10月4日に開催された鎌倉市議会の全員協議会に説明を行い、了承を得た。

■鎌倉市と地権者の間でまとまった基本的方向性の内容(2004・12・16)
(1)「鎌倉市山崎台土地区画整理事業設立準備委員会」は開発を取りやめ、鎌倉市の緑地保全計画に全面的に協力する。
(2)鎌倉市は緑の基本計画に基づく鎌倉中央公園の拡大区域の方針に沿って、平成17年度の想定価格で約60億円(約29ヘクタール)以内を目途に、概ね10年間で公有地化を図るための手続きを取る。
(3)鎌倉市は公有地化を図るため、平成17年度に中央公園に隣接した部分を中心に、地権者から約25億円相当部分の土地を先行取得する。
(4)残りの土地については緑地保全契約か緑地使用計画を地権者と締結、平成22年度以降、適切な価格で取得する。

▽「里山的実質保全」に向け、着実なステップ
 鎌倉市は今夏から既に、台峯保全に関する理念やテーマを盛り込んだ基本構想の策定開始に入っている。平成17年度中に基本構想の策定を終え、同18年度の早い時期に都市計画を決定し、基本設計に入る。基本設計が事業認可の条件となる。
 基本構想の策定に当たっては素案がまとまった段階で、市民への説明会を開催、市民の要望を聞く。公園緑地課は「市民の意向を反映し、素案は緑地にあまり手を入れない方向になると思う」と話しており、台峯は「里山的実質保全」に向け、着実かつ具体的なステップを踏んでいる。
 鎌倉市ではなく、鎌倉市土地開発公社が台峯緑地を先行取得したのは、国から出る補助金の関係。国からは台峯の保全事業費の3分の1の補助金が出るが、これには事業認可が必要。土地の取得から事業認可までにはタイムラグがある。この間、土地の値上がりなどの可能性がある。このため、鎌倉市土地開発公社が代行取得し、将来、鎌倉市が公社から買い戻す。

▽焦点はトラスト団体の鎌倉市への寄付
 台峯保全に関しては、NPO法人「北鎌倉の景観を後世に伝える基金」が約1300万円、NPO法人「鎌倉広町・台峯の自然を守る会」は広町と合わせて約1200万円のトラスト基金を集めた。
 台峯に先行して保全が決まった広町緑地に関しては、04年4月に「鎌倉の自然を守る連合会」が、広町保全のために集めた約3200万円を鎌倉市緑地保全基金に寄付している。台峯保全問題が「里山的実質保全」に向け、着実なステップを踏み始めたことから、二つのNPO団体のトラスト基金の鎌倉市への寄付の時期が注目されている。

▽「鎌倉広町・台峯の自然を守る会」は寄付のタイミングを鎌倉市に打診
 鎌倉市によれば「台峯緑地の正式先行取得で、トラスト基金の受け入れ態勢は既に整った。早い時期の受け入れが可能だ。受け皿は緑地保基金となる。『鎌倉広町・台峯の自然を守る会』からは、寄付のタイミングについての相談があった」という。
 一方、「北鎌倉の景観を後世に伝える基金」は、今年5月15日に山ノ内公会堂で開いた通常総会及び理事会で、「緑地保全積立金1200万円及び鎌倉市公債(緑債)100万円の鎌倉市に対する寄付については、今後の状況の推移を見守りつつ、今回のアンケ−ト同様、会員の皆様の意見を参考にした上で、総会の決議事項とすることで満場が合意いたしました」と会員に文書やHPを通じて報告している。

台峯のハゼとハンノキ

鎌倉市が鎌倉市議会の全員協議会に提出した資料1
’(写真をクリックすると拡大されます)
 
鎌倉市が鎌倉市議会の全員協議会に提出した資料2
’(写真をクリックすると拡大されます)

 


 


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