特   集


  周囲の建物から際立つことがないよう事業者に要請
    ―
北鎌倉の景観に関する鎌倉市長の回答―



 ことし、1月10日に北鎌倉の景観に関して、石渡徳一鎌倉市長にEメールで、要望を提出した内容をアップしましたが、その回答が1月19日に届きましたので掲載します。今後の北鎌倉湧水ネットワークの取り組みの参考にしたいと思います。アクセスしていただいた方から、御意見をいただければ幸いです。

 回答の骨子は(1)六国見山のトイレの整備と杉林の間伐と山の手入れについては、事業計画に沿って平成18・19年度に実施する予定(2)桜は剪定に弱い木であるため、枝払いについては、緑化推進専門員などの助言、指導を得て慎重に対応(3)「特別養護老人ホーム建設予定地」は、市が法指定等により保全を図る緑地に位置付けられていない(4)小泉邸跡地マンション建設計画に関しては、市は周囲の建物から際立つことがないよう、事業者に対し要請、今後とも事業者・住民による円満な話し合いが行えるよう事業者に対して指導していく―です。

【参考】
実質、形式とも15メートル以下遵守の指導を
 ―北鎌倉の景観で鎌倉市長に要望―
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/tokusyu/6.html

○石渡徳一鎌倉市長からの回答(全文)

野 口 稔 様

 明るく住みよい鎌倉をつくるため、いつもあたたかいお力添えをいただき厚くお礼申し上げます。
あなたからお寄せいただきましたご要望につきまして、次のとおりお答えいたします。

1 六国見山森林公園について
六国見山森林公園は、平成14年8月8日に都市計画決定し、平成15年4月1日に都市計画事業認可を取得しました。
事業計画は、今年度から平成17年度までの3年間で用地取得をし、平成18・19年度の2年間で施設整備をする予定です。今年度は、用地取得予定面積約2.4ヘクタールの内、約0.8ヘクタールの用地を取得しました。
ご要望の(1)トイレの整備と(3)杉林の間伐と山の手入れについては、事業計画に沿って平成18・19年度に実施する予定です。
また、ご要望の(2)山頂の桜の枝払いについては、山頂南側は公園予定地であるため、(1)・(2)と同様に平成18・19年度に実施することは可能でありますが、桜は剪定に弱い木であるため、枝払いについては、緑化推進専門員などの助言、指導を得て慎重に対応していきます。

2 特別養護老人ホーム建設計画と緑の基本計画について
 鎌倉の緑の保全は、多くの鎌倉市民の願いであり、市民と鎌倉市が一体となって取組んでいるまちづくりの共通目標です。
 鎌倉市内に残された全ての緑地を保全することは大変困難なため、鎌倉市では、平成8年4月に「鎌倉市緑の基本計画」を策定し、これに基づき種々の緑地保全施策を推進しています。
 ご指摘の「特別養護老人ホーム建設予定地」につきましては、「緑の基本計画」において、「市民緑地」に位置付け、土地所有者自らの意志により保全をお願いしているところです。よって、市が法指定等により保全を図る緑地に位置付けられていないことをご理解ください。

3 小泉邸跡地マンション建設計画に関する要望について
  当該地は、鎌倉市の都市景観を総合的かつ、計画的に推進するための基本的な考え方である景観形成基本計画において、北鎌倉ベルトに位置づけられ、
  ・ 古都景域と都市景域を結ぶベルトとして、まち並みの連続性に配慮
  ・ 背景となる山並みと調和したヒューマンスケールの都市景観の形成
  ・ 歴史的環境に調和したまち並みの整備
  ・ 魅力的な歩行空間の整備
 などを景観形成の基本方針としている地域にあたります。このため、市ではこの基本方針に沿って事業計画が進められるよう事業者に対し、次のような要請を行っています。
  ・ 建物の配置、規模、形態、意匠
  ・ 既存樹木の保存
  ・ 歩行空間等の魅力的な公共空間の確保、創出等
  特に、ご質問の建築物の高さについては、周囲の土地利用の状況や法令上の制限(近隣商業地域及び第一種中高層住居専用地域)等を踏まえ、周囲の建物から際立つことがないよう、事業者に対し要請をしております。
  「建築物の高さの指導基準(高さ15m以下とする。)に沿った指導を」とのご要望ですが、これは、風致地区外(一部の地域を除く。)において、建築物の高さ(平均地盤面からの高さ。)が15mを超える場合、都市計画審議会の諮問対象となるもので、行政指導のひとつの目安ではあるものの、指導基準ではありません。
  このため、市では地域の実情を踏まえ、地域毎の個性豊かなまちづくり、景観づくりを進めるため、地域住民の方々と行政との協働により、地域の詳細なルールを定める「景観形成地区」等の制度を創設し、地域毎の個性豊かなまちづくりを進めております。
  今後とも、こうした考え方にたって、制度の積極的な運用を進めていきたいと考えています。
  なお、マンション建設計画の手続きにつきましては、鎌倉市開発事業等における手続及び基準等に関する条例に基づき、平成15年7月2日に事前相談申出書が提出され、その後、事前相談、近隣住民への説明及び標識の設置を経て、現在、住民説明会を開催し住民の皆様と事業者で話し合いがされているところです。
  市といたしましては、今後とも事業者・住民による円満な話し合いが行えるよう事業者に対して指導してまいります。

 今後とも、市民に愛される市政を進めてまいりますので、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

     平成 16 年 1 月 19 日
     鎌 倉 市 長   石 渡 徳 一


(了)


六国見山中腹から見た朝日
(04年1月2日
伊豆半島に沈んでいく夕陽
(六国見山山頂
遠くには大島が…
(六国見山山頂)

 

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